乗り込んだ電車が余りにも空いていてハッとする。
自分の外に一人しかいない。
車内の縦の見通しが明るく心地良い。
ゴチャゴチャして先の見えない生活。
それとはかけ離れた清々しい空間に一駅区間でも居られた。
こんな心象の景色を欲しがっていたのかな。
あれを求めこれも取りそれも欲しがる。
一つ一つはそれなりの居場所がある。
とは言え、それらが合わさると見事に猥雑極まりないものへと変身してしまう。
だからこそ何もない元空間への思慕に驚いたり、その見通しの美しさに共鳴せざるを得ないのだろう。